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「なぜこの人はわかってくれないのか」は少し未来に希望が持てる本

少しだけ、未来に希望が持てる本でした

「なぜこの人はわかってくれないのか」はタイトル通り、コミュニケーションについて書かれた本です。

でも、ビジネス書によくある、心理学を駆使して相手からYesを引き出すといったテクニックは書かれていません。

この本に書かれた手順は、ある意味、丸腰で真っ向勝負な正攻法をとる道筋が書かれています。

内省し、自分の本当と向き合い、自分は正しい・自分は相手より賢いといった気持ちを捨て、相手にも理がある事を認め、対立する相手に心から非礼を誤る。

その上でお互い妥協せず、対立する相手とコラボレーションする事で、どちらにもなかった全く新しい方法を模索する。

といった段階を踏んだエクササイズが書かれています。

この本を読んで、何か癒やされたような気持ちになりました。

私も毎月それなりにビジネス書を読むのですが、多くのビジネス書には、つまるところ以下のように語られているように感じます。

自分は自分で他人は他人。
他人の心を変えるなんて不可能なのだから、自分の取り組みや自分の居場所(環境)を変えて、話の通じる人とコラボレーションすれば良い。
もしくは、心理学の成果を活かして科学的なプロセスで、相手から要領よくYesを引き出そう。
人生は短いのだから、自分が出来もしない事に取り組むのはもったいない。
自分が得意な事に集中して自己研鑽しよう。
そうして、自分や家族や仲間を大事にして過ごそう。

かなりデフォルメしてはいますが、概ねこのようなメッセージが込められています。

これらの処世術は正論ではあるし、実際にこのようにしないと変化の激しいこの時代に生きていけないと思います。

実際私もこれらのマインドやテクニックから多くを学び、少しずつ生活を向上させています。

ただ、一方で時間がかかってもいいからどうしても取り組んでいきたい事があった方が幸せだとも思います。

上述のような処世術だけだと、例えば奴隷の解放や児童労働の禁止といった事は成し遂げられなかったはずです。

例えば「少しでも環境の悪化を食い止めたい」「理不尽に苦しむ人を減らしたい。」

そこまで大きな話でなくても「いつもぶつかり合う母親と仲直りしたい」「今携わっているプロダクトが世の中に受け入れられて少しだけ世の中に笑顔を増やしたい」といったテーマは、小手先のテクニックだけでは不可能です。

そういったライフワークと呼べるようなテーマには、話の通じないと諦めている相手との対話は不可欠です。

本書には、人とまっすぐ向き合う道筋が示されていました。

少し未来に希望が持てるような読書体験でした