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「ストップ!デートDV!」という本を読んだ感想

特にさしせまった理由はなく、純粋に興味で手にとった本でした。

著者の方は大学教員かつNPOで、DV被害者の方を救済する活動もされているようです。

お名前は存じ上げなかったのですが、現在も活発に活動されており、その活動はネット上でもよく議論を呼んでいるようです。

本書では、世の中の恋愛観自体を考えなおそうとする中長期的なビジョンと、さしあたって現実の被害者を支援する活動の両輪でバランス良く書かれていました。

この両輪のバランス感覚は本書全体で見られました。

例えば、加害者が心から悔いて謝罪する事が被害者の救済に繋がり理想的だとする一方、これを被害者を縛り付ける口実に使われてはならず、現実的には被害者の安全を第一にすべきと訴えています。

なお、著者は旧来の恋愛観(付き合ったら二人は一体であり、多少の束縛はむしろ当然という考え方)がDVの温床になっているという立場で持論を展開しています。

これ自体にはさほど異論はないのですが、本書で、小説・雑誌・バラエティ番組・タレントなどを「ジェンダー再生産」的であるとして実名で槍玉にあげられており、この方法には個人的には違和感を持ちました。

例えばテレビ番組で「恋人に対して異性のケータイの宛先を消させる」といった束縛行為を好意的に取り上げる事を批判する文脈で、出演者の西野カナ木村拓哉の発言を名指しで批判していました。

その割に、実際に事件となり逮捕された内田裕也については、U氏とイニシャル表記にしている基準もよく分かりませんでした(実際に被害者がいる事に対する配慮かもしれませんが)。

最近あった「月曜日のたわわ」バッシングも含めて、フェミニズム寄りの活動家・学者のやり方には、私は今のところ感情的にも受け入れがたく、合理性も感じないのが正直なところです(今後フェミニズムジェンダーについて知る中で私の考えも変わるかもしれないですが)。

とはいえ、DV被害者の支援を訴え、そのためにはDVについて正しい知識を広める事が大事であるといった本書の全体的なメッセージは素晴らしいと思いました。

法改正の訴えや教育現場への関与被害者への直接的な支援の運動や、同性カップルや男性被害者の救済など全方位的に問題点が提示されていましたし、この問題について考えるきっかけになる良い本なのではないかと思います。