【書評】HTML5によるAndroidアプリ開発入門
- 作者: Damon Oehlman,Sebastien Blanc,夜子まま,長尾高弘
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/01/19
- メディア: 単行本
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監修者の夜子ままさんから、勉強会等でお世話になっている御縁で、御本をいただきました((全く関係ないですが「ご献本いただきました」と書きそうになったのですが、「献本」は謙譲語なのでおかしいのかな?日本語は難しいです><))
発売前に本をいただけるという事を体験できるのは初めてで少し緊張してます。
夜子ままさんと日経BP様に感謝です。
既に、水嶋さんが素晴らしい書評を書かれているので、あまり付け足す事はないのですが、感じたことを書きたいと思います。
さて、本書のテーマはタイトル通り、HTML5などのWeb標準技術による、モバイルアプリケーションの作成です。
そういうアプローチがとられる理由としては、増え続ける端末。それに対応するためのコストの増加があります。
原著者の「はじめに」と「監修者まえがき」で同様の危機意識が表明されています。
複数のモバイル端末に対応するアプローチとしては、Web標準技術によるものの他にも、
ぱっと思いつくだけで、AdobeAIR・Titanium Mobile・CoronaSDK・MoaiSDK・Unityなどがあり、それぞれに強み弱みがあると思います。
その中で本書のアプローチは、Web標準技術をほぼそのままのかたちで使うので、
学習コストの低さ・技術者の多さ・保守性の高さ・移植性・技術が廃れてしまうリスクの低さ、
といった点では圧倒的だと思います。
本書は、ステップバイステップ形式で、二種類のアプリケーションを作成していくという形式をとっており、
初心者の方でも無理なく学習できます。
また、とりあげられているトピックが豊富なのも特長です。
CSS3・Canvas・WebAPIの利用などが基礎から解説されています。
また、11章ではJo・jQTouch・jQueryMobile・SenchaTouchの4種類のモバイルUIフレームワークの比較が行われています。一つ一つ比較するのは大変な作業なため、これは非常に助かります。
そして、情報が古くなっている内容に関しては、監修者によって適宜補足されているのも特長です。
各種のライブラリに関して、すべて最新版で動作検証が行われていて、この丁寧なお仕事ぶりには頭が下がります。
上記のような特長から、HTML・CSS・JavaScriptについて、ちょっと知っているくらいの知識の人が、ひと通りのWeb技術について学べる本になっていると思います。
上記までで本書の意義・特長について述べてきました。
Web標準技術がモバイルアプリ開発の中で大きな位置を占めるのはほぼ間違いないように思えますが、
それが全てになるとは思いません。
Web標準にはない各種機能や開発環境が標準で使えるなど、環境独自の「おいしさ」を享受するには、やはりネイティブにはなかなかかなわないように思います。
初心者に壁になっている、Androidの画面開発などもIDEが少しずつよくなってきており、
デザイナーにAndroidの画面開発を浸透させる試みも技術者によって行われています。
また、AndroidのWebkitはOSと一体で、しかも端末のアップデートは各キャリア・メーカーに依存するため、Web開発者を苦しめたIE6以上の互換性問題が待っているという指摘もあります。
ですので、各技術についてよく知り、メリットを活かして、リスクを回避する能力が技術者に求められているのだと思います。