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『法月綸太郎の冒険』(1992)を読みました

ここ何年も、技術書やビジネス書ばかり読んできました。

その反動か、急に小説読みたい欲求が湧いてきて手にとった1冊目が本書です。

今回が初読です。

本書は法月綸太郎の最初の第一短編集です。

長編を含めると、『密閉教室』『雪密室』『誰彼』『頼子のために』『一の悲劇』『ふたたび赤い悪夢』に続く法月綸太郎さんの6冊目の著作です。

既に古典と呼べる作品なので多くの人によって本作について語り尽くされており、 今更私が付け加えるような感想もないのですが、自身の記録を兼ねてレビューします。

ネタバレはしていませんが、展開には触れているので、未読の方はご注意ください。

死刑囚パズル

死刑執行直前に死刑囚が毒殺されるという前代未聞の事件に挑む探偵・法月綸太郎。 ゴリゴリのパズラーです。こういう作品を読むのは本当に楽しいです。

死刑制度というテーマ性や緻密なロジックから衝撃の真相までのバランスが完璧で、美しい小説だなと思いました。

黒衣の家

衝撃の真相なのですが、とある有名な話と被っていたため、残念ながら衝撃が減じてしまいました。 発表時期から見ると、この作品の方が直接の元ネタだった可能性もあります。 あとがきによるとこの真相は先例があったようで、法月さんは当時知らずに書かれたそうです。

カニバリズム小論

最後の最後に明らかになる真相がグロテスクで悲惨で、好みの作品です。

切り裂き魔

ここから4作は、図書館司書の女の子が法月とともに行動する図書館シリーズです。 テイストも前3作と大きく変わって明るい雰囲気です。 本作もロジックが綺麗ですね。

緑の扉は危険

密室物です。

「また密室か」と言いつつも、やっはりテンションが上がります。

土曜日の本

『50円玉20枚の謎』という競作(問題編が共通で真相を各作家がそれぞれ描いたアンソロジー)の参加作品。

『50円玉20枚の謎』は読んだ事があるため、本作だけ既読でした。

うーん、やはり後書きで作者本人も触れている通り、内輪ネタに終始していて個人的に本短編集の中ではいまいちな印象。

過ぎにし薔薇は

作者の自己評価は高くないようですが、印象は悪くなかったです。

真相と道具立ての繋がりが面白かった。

もしかしたら、図書館シリーズじゃない方がより傑作になっていたかもしれない。

まとめ

という訳で、やはり素晴らしい作品集でした。 近いうちに『ニの悲劇』も読みたいと思います